伊予原新講演会

富士宮市の市制80周年記念事業、令和4年度、富士宮市立図書館講演会、伊予原新講演会に行ってきました。

広報ふじのみやにひっそりと載っていたのを見つけて応募しました。特にファンだったわけでもないのですが、小説家と言う存在が気になるので。そんな感じで応募しました。

講演会までに読めた本は「月まで三キロ」の表題作と星六花のみ。どちらも少しハッとする内容。そしてどこか温かい。

科学についてはあまりよくわからないけれど、人間ドラマがおもしろいので読めるかなと思います。

 

講演会の内容について。

聞きながらメモりましたが、何分にも科学的なことは聞いている方がよくわかっていないのでよくわからない内容になると思います。すみません。

ご本人は講演には慣れている様子でしたが、時間が足りないと何度もおっしゃってました。

伝えたいことがたくさんあるっていいことですよね。

 

まず、紹介から入りました。

経歴は富士宮市立図書館の紹介を引用します。

 

1972年大阪府生まれ。

東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。専攻は「地球惑星科学」。

2010年「お台場アイランドベイビー」で横溝正史ミステリ大賞受賞。

ほか、「月まで三キロ」で新田次郎文学賞、静岡書店大賞受賞。

「八月の銀の雪」が、直木賞候補に。

最新作は「オオルリ流星群」

 

伊予原さんと富士宮について。

伊予原さんの奥様のご親戚のお家が富士宮市内にあると言うことでお正月によく富士宮にいらっしゃるそうです。

奥様が大変お世話になっていて、市民文化会館の近くでもあるとのこと。

 

図書館の行事ということで、自らの図書遍歴を紹介してくださいました。

小説や科学の本も紹介されていましたが、小学校時代は何よりも漫画、藤子不二雄さんに夢中であったそうです。ご自身でも漫画を描いていて小学校の頃は本気で漫画家を目指していたそうです。

中学生になって江戸川乱歩とかも読むようになったと。この辺りはメモが追いつかず書き切れなくて、そしてうろ覚えです。すみません。

 

進路を決めた本ということで紹介されていたのが二冊。

大学の図書館の司書さんが、いっかいの高校生に本気で探して教えてくれた本が、田畑忠司さんの「流氷」という本だそうです。

おもしろかったのだけれど、その後に読んだ上田誠也さんの「新しい地球観」という本が決めてだったそうです。

 

地磁気の研究をしているということ。地球は大きな磁石である。今は地球の磁気は上にS極、下にN極になっている。

大学は神戸大学で、神戸大学では毎年1人だけ南極に連れて行ってもらえる。自分も連れて行ってもらえた。

 

チバニアン

2020年にチバニアンに名称が決定した。地層のこと。

地磁気逆転層。市原市の養老川の地層がとてもわかりやすく出ている。

258〜77万年前までは今と逆の地磁気だった。地磁気は逆転する。そろそろ変わってもおかしくない頃だそうです。

 

磁鉄鉱=方位磁石。

地磁気は生命を守る盾の役割をしている。

放射線が地球の中に入らなくする役目を果たしているから。

 

大学を出て、大学院を出て、助教の立場で研究をしていたが、やりたいことがうまく出来ずにモチベーションが下がっていた頃。

研究の内容ではなく、小説のトリックを思いついた。

小説なんて書くのは初めてだったが、頑張って書いた。そして応募したが、初めての作品が賞を取れるとは全く思っていなかったので本人は忘れていた。知らせが来てびっくりすることになる。

その、応募した賞が江戸川乱歩賞。応募したが落選。しかし、最終審査には残ったようで、続けて書くといいよと講談社の編集さんに勧められたとのこと。

 

次の作品がお台場アイランドベイビーで、2010年に横溝正史ミステリ大賞でデビューした。

同時にまた他の作品を江戸川乱歩賞に出したが、これも最終まで残って結果落選したとのこと。

落選はしたが、綾辻行人さん(敬愛している)が強力に推してくれたらしい。感激したとのこと。

その綾辻さんから、「あきらめずに書いていれば、いつかきっと日の目を見るよ」と言われたという。その時は真の意味はわかっていなかったが、何冊か本を出してもあまり注目されることがなかったことで、言葉の意味を思い知ることになったという。

 

月まで三キロ、八月の銀の雪は、地球科学、生物学+人間ドラマの作品。

知り合いの編集さんに「伊予原さんはミステリのトリックを書くことに疲れているような気がします(違う表現だったかもしれません)」と言われたことで、ハッとしたと。

その人から、真鶴町立の遠藤貝類博物館のコレクションを見て、何気なく入ったのに感動したという話を聞いて興味が沸いた。

科学博物館の川下コレクションにも影響された。アンモナイトのコレクション。

アンモナイトの探し方」を書いたと。

 

月まで三キロ。

静岡県浜松市天竜区に月という地名がある。テレビで知って興味を持った。調べてみたら本当にあって驚いた。今はGoogleマップの中にも「月まで三キロ」の青看板があると載っているそうです。

月という地名になった由来の一つに、南北朝時代楠木正成の配下の落武者が何人かいた。正成の心が月のように綺麗だということで月になったという説があると言っていた。

 

月までの距離は実際には38万キロある。40億年前以前には現在の半分以下の距離で、見かけの大きさは現在の6倍以上だったそうです。

月は1年に3・8センチずつ遠ざかっている。

理由は書き取れませんでした。すみません。

 

八月の銀の雪。

インゲ・レーマンの論文。女性の研究者。ちょっと変わった人だった。地球の内核の発見をした人。

地殻=岩石

マントル=岩石

外核=液体の鉄

内核=固体の鉄

 

鉄は高温になると溶けるが、圧力が高いと固まるのだそうで、地球の内核は圧力が高いので固まった鉄なのだそう。

P派=縦波(液体の中を通る)

S派=横波(固体を通る)

地球の46億年の歴史の中で、内核が出来たのはおよそ10億年前。

地球の冷却と共に現在も内核は成長している。

 

時間がないということで、少し講演内容をご本人がはしょりました。

 

最新作のオオルリ流星群。2022年。

エッジワース・カイパーベルトというものがある。

冥王星は昔は惑星として捉えられていたが、現在は月よりも小さいということで惑星とは見做されていない。

同じくらいの大きさの星が周りにもたくさんある。冥王星は惑星ではなく、準惑星という扱いになった。

 

短周期彗星の軌道。

彗星は、エッジワース・カイパーベルトという辺りから、流れてきたもの。

その彗星のチリが流星群であると。

京都大学の有松亘(こう)という研究者がいる。

この人が、立派で高価な望遠鏡ではなく、天文マニアなどが使う望遠鏡にカメラを取り付けて、掩蔽現象(えんぺい現象)というものを利用して、発見したらしい。

何をどう発見したのかは、門外漢すぎてよくわかりません。すみません。

 

渡部潤一氏との対談に、ゲストで有松亘さんが来た。2022年10月のこと。

有松さんの研究を題材にして伊予原さんが小説を書いたことを、知り合いの人から聞いて知った有松さんがTwitterで「マジっすか」と驚いたという。

有松さんがどんな人かわからないので、もし、直接連絡を取って取材して、小説にするのを断られると困るので、無断で題材にしてしまったのだが、その知り合いの人によって、すぐに有松さんにも知られてしまったと。

その有松さんは、科学の雑誌に伊予原さんの書いた「オオルリ流星群」の書評を書いてくれているという。

 

質疑応答コーナー

山本周五郎のファンの人が、伊予原さんの本を読んでおもしろかったですと。伊予原さんは山本周五郎さんの本は読みますかと。

伊予原さんも山本周五郎さんを好きで何冊か読んでいるとのこと。

 

次の作品はもうありますか?との質問

今年の夏に短編集が出る。月まで三キロみたいな雰囲気の作品集だと。楽しみにしていて欲しいとのことでした。

 

講演会の最後には、現物の本を持ってきた人を対象にしたサイン会を急遽開いていました。

私はKindleで買った電子書籍だったので仕方なくあきらめました。

 

 

内容としては、科学的な難しい話は私がよくわからないので理解できていませんでしたが、聞いていて嫌な感じはしないし、楽しかったです。もっと、色々詳しくなりたいと思いました。

 

そして、言外に「あきらめないで書き続けてね」というメッセージをもらったような気がしました。

伊予原さんが綾辻行人さんに言われた言葉ですね。

 

やり続けるって大変なこと。

伊予原さんは、やりたいことができない研究者の状況にモチベーションが下がった時に小説のトリックを思いついた。

こんな話を聞くと、やっぱり人生って無駄なことはないのではないかと思ってしまうのでした。

色々と参考になった講演会でした。

 

科学的なことはネットで調べてもきっと私にはわからないので裏を取っていませんがすみません。もっと賢くなりたいです…。

有意義な時間でした。